GLOBAL INDEX
September 2014

FEATURE
"UNITED STATES of AMERICA"

01

Growth Power & Lifestyle
[成長するアメリカと
人々のライフスタイル]

憧れのライフスタイルにトラクタは欠かせない。

広大な国土に、増える人口
世界経済を牽引するアメリカ

アメリカ合衆国は、本土48州にアラスカ州、ハワイ州を加えた全50州から成る。国土面積は962.8万km2(世界第三位)で、日本の国土の約25倍。西海岸にあるカリフォルニア州が日本とほぼ同じ面積である。人口は約3億1,000万人。これも中国、インドに次いで世界第三位だ。国土面積と人口はアメリカの「スケールの大きさ」を充分に示すものであるが、ここは「大きいだけ」の国ではない。2013年のGDP(名目)は約16兆8,000億ドル。第二位の中国が約9兆2,000億ドル、第三位の日本が約4兆9,000億ドルだから、中国と日本を合計してもアメリカの経済規模に及ばない。世界最大の株式市場である「ニューヨーク証券取引所」の時価総額は、東京証券取引所の4倍強。これにNASDAQを加えると、ニューヨークにある2つの市場だけで世界の時価総額の約37%を占める。アメリカが持つ、世界の経済を牽引する「強さ」も衰えてはいない。

2010年以降のアメリカ経済は回復を続けているといえる。「シェールオイル」がもたらした新エネルギー革命などにも後押しされ、雇用率の上昇、住宅着工件数の増加などにも、明るい指標を見ることができる。人口の増加は、ヨーロッパの先進国には見られないアメリカの特徴として、特筆できよう。日本を含めた先進国の多くが「高齢化社会」の課題に直面する中、移民を受け入れ、年率1%の人口増を続けるアメリカは、多様性に富む人たちの手によって、今後も「大きさ」と「強さ」を拡大させていくのだろう。

今回アメリカを取材して、多くの住宅の建築現場を見かけた。月100万件レベルまで回復した「住宅着工件数」が、この国の底力を裏付けている。現場では、クボタの建設機械を見かけることも多くあった。また、新築後の個人住宅の庭先にも、オレンジ色のクボタトラクタや芝刈り機があった。クボタがアメリカに進出すること、およそ45年。今や、コンパクトトラクタでは、40%を超えるシェアを誇る。アメリカ人のライフスタイルに、クボタは溶け込んでいる。

移民を多く受け入れるアメリカを多様な人種が支えている。

憧れのライフスタイル

日本では、自分たちが消費する野菜を自分たちの手で育てる、ホビーとしての家庭菜園が人気だが、アメリカ人のそれは、より一層、生活そのものに根ざしている印象だ。ウィークデーは会社勤めだが、休日は郊外にある自宅の広い庭で、花壇や芝生の手入れをしたり、野菜を育てたりする。ニューヨークやロサンゼルス、シカゴといった大都市で働き、リタイヤした後、郊外に土地と家を買って、念願の「田舎暮らし(カントリーライフ)」を始める人もいる。規模にもよるが、鶏などの家畜を飼うこともあるようだ。

アメリカの建国を振り返れば、ヨーロッパから新大陸に渡って来た移民たちの多くは農民であった。広大な大地を切り拓いて、自らの手で家を建て、家畜を育て、作物を栽培する。庭の広さ、何でも自分の手でこなしていく旺盛な意欲。そうしたスケールの大きさを目の当たりにすると、開拓者たちが大切にしていたものが、現在のヨーロッパ系アメリカ人のライフスタイルにつながっていると感じるが、少し言いすぎだろうか。

豊かな自然の中で、草花や土とふれあう生活。そんな生活を支えるパートナーが、コンパクトかつ多機能・高品質なオレンジ色のトラクタだ。

実際にクボタのディーラーには、芝生の刈取りと集草を同時にこなし、植樹用の穴を掘り、土や樹木の運搬をして、菜園を耕し、冬には除雪もしてくれる…そんな頼れる一台を求めに、お客さんがやって来る。リピーターも多いが、初めての一台を求めるユーザーの表情から伝わってくるのは、憧れのライフスタイルを目前にした高揚感だ。

クボタはこうして、アメリカの人々のクオリティ・オブ・ライフに貢献しているのだ。

「カントリーライフ」に関する雑誌も多く出版されている。

Column

トラクタビジネスに
不可欠なパートナー“ディーラー”

クボタがアメリカでビジネス展開するにあたっては、ディーラーの存在は不可欠なものである。ディーラーは、メーカーから製品を仕入れ、ユーザーに販売する。

アメリカのディーラーは、親子何代にもわたって、古くから経営しているオーナーが多い。現在、クボタのディーラーは全米に約1,100店舗。クボタとの資本関係は無く、どのメーカーの製品を取り扱うかについては、彼らの経営判断。売れるブランド・製品をいかに品揃えできるかが、彼らのビジネスの根幹を成す。

クボタ製品を扱うディーラーはこのように話す。「アメリカには2種類のディーラーしかいない。クボタのディーラーとクボタディーラーになりたいと思っているディーラーだ」。顧客の望みに応え続ける、オレンジ色のトラクタを扱う店になろうとすることは、自然な流れのようである。

毎年10月、クボタは、全米ディーラーミーティングを開催している。クボタがディーラーに対し、翌年から発売する新製品をお披露目するイベントだが、ディーラー参加率はほぼ100%である。宿泊費や交通費は自己負担であるにも関わらず、商機を逃すまいと、新商品の性能を見極めに全米からディーラーが集まってくる。クボタとの出会いは、ビジネスチャンスなのである。

ディーラーと二人三脚でクボタ製品をお客様に届ける。ディーラーの存在なくして、アメリカでのクボタの45年の歴史は語れない。