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徹底的にインド農業に寄り添うことで生まれた新型トラクタ

トラクタ

文化・風土と密接に絡む農業の在り方は、世界各地域によってまったく異なります。作る作物、育て方、土壌、畑の大きさ。事情の異なるさまざまな農家の方々をサポートするため、クボタは各地域の農業や使い方にあった製品を提供しています。
その根底にあるのは現場の声、現場のニーズに対して徹底的に耳を傾けるという姿勢。製品が使われる現場を理解せずして、真に役に立つモノ作りはできません。創業以来、クボタの製品開発に脈々と受け継がれてきた現場主義は、今や世界規模で実践されています。

地域性の理解から開発は始まる

自然の中で行う農業は、場所や気候の影響を大きく受けます。地域によって適した作物が異なるのはもちろんのこと、同じ作物であっても地域によってその育て方が違う場合もあります。農業と一言で言っても、実にさまざまな在り方が世界中に存在しているのです。

農業機械もその影響を大きく受けており、求められる機能や重要視されるポイントは地域によって異なります。また、他の国の人には思いもよらない使われ方をするなど、その国特有の使用方法も考慮する必要があります。農業とは切っても切り離せない地域性を理解するということ。それが、農業機械開発の出発点なのです。

インドの公道にクボタのトラクタを走らせたい

2015年、クボタはインド市場向けにMU5501を発売しました。

インドは世界有数の農業大国で、国土の約52%*が農地として使われています(世界平均は約11%)。人口が増え続けるインドでは、近年食料生産が大きな課題であり、国の経済発展と共に安定した食糧供給・収量拡大を実現したいという農作業ニーズが日々高まっています。そのため、広大な農地に対して人の手に頼った従来型の農業から、さらなる効率化を目指した機械化が進んでいます。

開発プロジェクトがスタートしたのは2012年。初めてインドを訪れた開発チームが目にしたのは、公道にあふれるトラクタでした。農業だけでなく、日々の移動や荷物の運搬などにも幅広い使い方をするのがインド流。中にはトレーラーからはみ出るほど大きく重い荷物を積載し、前輪が浮いた状態で走っているものや、大型コンバインの上にトラクタを載せ、その出力をコンバインの収穫・走行機能の動力源として使うなど、開発チームのメンバーは、他の国とは大きく異なる状況に驚きつつ、一方ではいつの日かインドの公道をクボタのトラクタであふれさせることを心に固く誓いました。

  • 日本貿易振興機構(2012)

グローバルチームで挑んだ製品開発

インド独自のトラクタ開発は、日本、タイ、そしてインド現地のスタッフから成るチームで取り組みました。インド各州、各県で異なる営農方法や土壌に対応するため、試作機を使ったテストをインド国内10箇所で実施。組み上げた試作機は従来の既存市場に向けた開発と比較して2倍以上になりました。現地ユーザーによるテスト運転はひとつの機械を長期間使い続けるインドの特徴を踏まえ、他国でのテストよりも長時間実施。また開発協力をディーラーはもとよりエンドユーザーにまで仰いだのは、世界最大のトラクタ市場に挑む開発チームの意気込みの表れでした。

さまざまなテストにおいて、クボタは耐久性に注力しました。一例を挙げるとトラクタの後輪タイヤをつなぐ車軸の耐久性です。前輪が浮いたまま走行する使われ方では、車体重量を支える後輪車軸に大きな負荷がかかります。現地での測定データを元に、通常の同馬力帯に使用する車軸から大幅に強度をアップ。耐久性の高い車軸を採用しました。さらに、長時間の使用でも疲れにくいペダルの構造、操作レバーの配置、たくさんの荷物が乗ることを想定して平らにしたフェンダーなど、細部にわたり徹底的なインド向けのカスタマイズをほどこしました。

市場の数だけ必要な現場主義

インド市場にフィットする製品の開発には、インドの風土や農業、インド人の嗜好、インドで求められるトラクタの役割を観察・体験し、研究することが欠かせませんでした。公道にあふれるトラクタは、生活のあらゆる場面で使用され、農業機械を使い込むインド人が求めるトラクタ利用の象徴だったのです。

現場主義を貫くために、私たちは、今後も各市場で活躍する人々の声や使い方に耳を傾け、実際に目で見るという現場主義の精神のもと、現地の人が本当に欲しているニーズを把握していくことを、研究開発の根幹にすえ続けます。

「マーケットインを実現する大変さと充実感を身をもって体験しました」

農業機械総合事業部
足立 典文
樫本 龍幸

この仕事をやっていて面白いのは、日本の常識は他の国の常識ではないことを肌で感じられるところです。今回開発したMU5501は、インドで本当に必要とされているものを実際に現地に行って、見て、話を聞かなければ開発はできませんでした。開発検討含め約5年もの間、インドへ何度も足を運び、マーケットインの発想で実現していく大変さを、身をもって体験しました。しかし、その苦労の先にあったのは、開発に関わったグローバルチームであり、インドの農家の方々一人ひとりの笑顔でした。クボタは今後も現場と向き合い、各地域の人々と力を合わせて、大型トラクタの展開や、IoT活用など次世代トラクタの開発に挑戦していきます。

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