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過酷な使用環境に負けない製品を。
中国市場に挑む7トンバックホー

建設機械

急速な経済発展にともない、中国では都市部と農村部でインフラ設備の格差が発生しており、農村部では住民が農道などの環境整備を行う傾向があります。また中国は他国と比べ、作業時間が圧倒的に長く、建設機械にとって過酷な使用環境であると言えます。クボタは小型建設機械のリーディングカンパニーとして、その過酷な稼働に耐えうる製品の開発を目指しました。また、エンジニア自らが現地で建機の使われ方や人々の暮らしを体験することで、売れる製品の開発だけでなく、その先にいるエンドユーザーの生活に寄り添う製品の開発をしています。

華やかな成長に隠れ、遅れる中国農村部のインフラ整備

急速な経済発展を続ける中国。その広大な国土は、ダイナミックな変化の真っただ中にあります。
中国政府は2014年に「国家新型都市化計画(2014~2020年)」を発表し、公共事業などに積極的な投資を進めることで、都市化率を2012年の52.6%から2020年までに60%前後に引き上げる計画を掲げています。
一方、都市部の発展に比べ、農村部では道路や水道などのインフラ整備がまだまだ行き届いていないという課題もあります。未だ不便な生活をしている人が多い中、インフラ工事を行うのは、小規模な個人事業者が中心です。農村部の生活の快適さを向上する彼らの事業は、中国全体の生活環境の維持・改善のカギとなっています。

  • 独立行政法人労働政策研究・研修機構(2014)

現地調査で判明した中国ならではの使われ方

中国では5~10トンクラスの建機が大きな市場を形成しています。規模の小さい個人事業主にも手が届き、また、さまざまな作業に汎用性があるのがその理由です。2010年、クボタは中国市場に向け、欧州で好評を得ていた8トンバックホーを改良した製品を投入しました。

販売後、バックホーの使用状況についての調査を行ったところ、今まで欧州ではほとんど故障のなかった、アームやブームなどの作業機系の故障が複数報告されたのです。「中国では、欧州などとは明らかに異なるバックホーの使われ方がなされている」と認識したクボタは、中国で求められている建機の姿を探るため、大規模なチームを編成。湖北省、湖南省 四川省、貴州省、安徽省、江蘇省など、中国全土での調査を実施しました。

バックホーで行われる工事の内容は、多種多様かつ過酷でした。道路や側溝などの工事はもちろん、木の根が多数埋まった山の斜面を広範囲に切り開いたり、整地のためにつけられたブレード(排土板)を使わず、フロントの作業機部分のみで整地を行ったり、中には、養殖池を作るため、深い水の中で地面を掘るといったような、通常では考えられない使い方も見られました。
その使われ方の根底には「日本製なら、どんな使い方をしても故障するはずがない」という、中国の方々の高い期待が込められていました。

中国という独特の使用環境に応えるために

最も驚いたのは建機の稼働時間です。欧州などでの稼働時間は平均して年間800~1000時間程度であるのに対し、中国では2,000時間にも及んでいることが現地調査で判明しました。中にはオペレータのみが交代し、24時間体制で建機を稼働させているケースもありました。
その作業の多くが掘削のみの反復的な作業が多く、同じ部位に長時間繰り返し負荷がかかることで金属疲労が起こり、それが故障の原因となっていたのです。

コスト面についても非常にシビアで印象的だったのは、工事現場を管理するオーナーが機械をオペレータに貸しつけながら、燃料だけは作業量に見合う量を自ら給油しに現場を回る光景。
建機を操作するオペレータだけでなく、オーナー自ら燃費の良さを体感し、どこのメーカーから購入するのか判断するというのも、中国ならではの特徴と言えます。

燃費とパワーのトレードオフに限界まで挑戦

現地に何度も足を運び、中国ならではの使い方を理解したクボタは、中国市場向けの製品を開発することを決めました。2012年、クボタは中国の生産拠点となる久保田建機(無錫)有限公司(KCW)を設立し、ここから現地向けの製品KX175-5をつくるプロジェクトがスタートしました。

最も大きな課題となったのは耐久性です。欧州では多様な使い方に対応するため、機能や装備の細やかさが求められますが、短期間で大量の掘削をしたい中国ユーザーには大きなバケットと、耐久性の高いブームが必須でした。厳格なベンチテストを行いながら、各部品について設計の見直しを重ね、耐久性を追求していきました。

また、もうひとつの重要な要素である低燃費と低価格の両立を実現するために実施したのがエンジンのサイズダウン。小型のエンジンを搭載することで燃費を向上させつつ、出力不足による作業スピードの低下を克服するため、油圧ポンプの設定や各部品の組み合わせを試行錯誤し、エンジン出力と作業スピードが両立するギリギリの設定を探りました。
その結果、中国という過酷な稼働環境に対応できる高い耐久性を誇り、ストレスのないスムーズな操作性を持つ機体が誕生。まさに、クボタの中国での取り組みの集大成と言える製品となりました。

発展し続ける中国を縁の下で支えるバックホー

中国における建機の使われ方も少しずつ変化しています。例えば、これまであまり使用されていなかったバックホーのブレードですが、最近では整地でのブレードの利便性を知り、使用するケースが増えています。そこでKX175-5では、ブレード有無の2仕様を採用し、お客様が選んで機械を購入できるようにしました。オペレータの技術の向上とともに、ブレードに関しても中国独自の使い方が生まれ、今後強化をする必要がでてくるかもしれません。

単純に建機の性能向上だけを求めるのでなく、使用する国によって最適な使い方ができる製品を追求すること。それこそがクボタの強みである現場主義が活きた製品開発です。

クボタは今後も現場主義を貫き、地域の実情に合った製品開発を行うことで「まちづくり、くにづくりのクボタ」と世界中から思っていただけるような製品の開発に取り組んでいきます。

「数値化できないフィーリングを大切にしたい」建設機械技術部
藤田 裕司
高田 貴好
佐藤 文則

クボタの建機で多くのオペレータの方に評価いただいているのが操作感です。個々の機能向上はもちろん、「フィーリング」という数値化できない価値を高めることにはこだわりを持っています。私たち開発者がひとりでも操作性に違和感を持ったならば、現場で長時間製品に触れるオペレータも不満に思うはず。地道で難しいことではありますが、その感覚を大事にしながら、チーム一丸となって努力を続けていきます。

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