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1940~1960年代

建設機械事業への
挑戦者となる

モビルクレーン

住宅の建設現場で活躍するモビルクレーンKM200形

日本の建設機械の歴史は若く、その製品の大半は戦後に開発されたものが占めています。多岐にわたる分野を牽引してきたクボタも、建設機械業界に参入したのは1953年「久保田鉄工株式会社」と改称した年。これはインフラ整備支援への固い決意表明でした。

積み込み作業を行う、機械式パワーショベルKB60形

高まる建設機械の国産化への気運。産業基盤整備の加速化

1950年に入り、戦後の復興が進むなか電源開発が本格化します。水力発電用大型ダムの建設が盛んに行われ、欧米からの輸入大型建設機械が大規模な現場で活躍を見せると、建設機械国産化の気運が高まりました。また、電源開発だけでなく、高速道路や交通・通信網の整備、港湾施設の増強、石油コンビナートの建設など産業基盤の整備という巨大プロジェクトが続出。クボタも1953年に「久保田建機株式会社」を設立し、パワーショベルを中心に設計と販売を開始。鉱山用巻上機の技術と経験を活かし、建設機械事業へ進出します。

武庫川機械工場内でテスト中のモビルクレーンKM40形

建設現場の花形はモビルクレーン。業界新星のクボタが国内シェア1位に躍り出る

都市部の大規模建設現場では、行動範囲に制約のない運搬荷役であるモビルクレーンが主流となり、需要が急伸します。1956年、クボタは港湾荷役用4トン吊りモビルクレーンKM40形を開発。量産体制を武庫川機械工場に整え、確実に市場をつかみます。翌年には運輸省の補助金を受け、他社に先駆け8トン吊り大型モビルクレーンKM80形を完成しました。その後、モビルクレーンのシリーズ化を進め、港湾荷役用分野で国内シェア第1位を獲得。また、アタッチメントの開発にも取り組み、土木作業分野への進出も果たしました。

1960~1970年代

「日本列島改造ブーム」到来

高度経済成長の日本に湧きおこった日本列島改造ブーム。各地でさまざまな工事が行われ、建機の需要も大幅に伸びていきます。各建機メーカーの競争は激しさを増し、さらに油圧という技術により、建設機械はさらなる進歩を遂げます。

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1960~1970年代

建機に飛躍的進歩をもたらした
油圧技術の進歩

油圧式ショベル

掘削作業を行う、油圧式のクボタ・アトラスショベル

高度成長後期のいざなぎ景気を迎え、建機業界は大きな発展を遂げます。その背景のひとつに、1960年ごろ欧州から導入された油圧技術の進歩がありました。小型・軽量で操作性に優れた油圧式は、大型建機に広く採用され、品質水準を高く引き上げました。

油圧技術の進歩で大手の競争激化。
クボタも初の油圧ショベル「アトラス」を生産開始

1965年以降のいざなぎ景気のさなか、建設機械業界の発展を大きく後押しした要因のひとつに、1960年ごろ欧州から導入が始まった油圧技術の進歩が挙げられます。小型・軽量なシステムでも大きな力を発揮でき、操作性にも優れた油圧式は広い用途に適し、パワーショベルやトラッククレーンをはじめ、大型建設機械の性能・品質を向上させました。機を逃さずそこに着目したクボタは1966年、西独バイハウゼン社と製造技術提携契約を結び、クボタ初の油圧式ショベル「アトラス」を主力機種として育成することを決定しました。

地下鉄工事中の土木建設用油圧式モビルクレーンKMH-305

日本列島改造ブーム。油圧ショベルの需要と業界の競争は、ますます勢いを増す

翌1967年、枚方機械工場で「アトラス」を生産開始しました。三菱重工業や日立製作所などが先発メーカーとして君臨していた油圧式ショベル業界に、クボタや住友重機械工業などが参入した形となり、競争は激化しました。1972年の日本列島改造ブームで、油圧式ショベルの需要はさらに加速。クボタは後発ながら、土木建設用油圧式モビルクレーンKMH-305形が安定した受注を確保し、健闘します。1970年から1971年にかけて、ソ連と中国に機械式モビルクレーンの大口輸出も行いますが、業績好転までには至りませんでした。

1973年に生産拠点を移動した、枚方機械製造所の建機組立ライン

「小型重点志向」方針を打ち出し、建設機械事業再建へ。生産拠点・販売体制も一新

日本列島改造ブームで業界は沸いたものの、後発メーカーであるクボタは苦戦を強いられます。1973年、建機事業再建に向け「小型重点志向」方針を打ち出します。当時、都市化に伴う小規模工事が増加。掘る・運搬などの人力での現場作業に限界が生じ、小型ハンドドーザーの販売が伸びていました。同年、組織や生産拠点、販売体制をすべて一新し、「流れる生産・流れる販売」を確立。1974年には、クボタミニバックホーのベースとなる全旋回式小型油圧ショベルKH1が完成。小規模な都市型工事に適した特性で人気商品となりました。

1970~1980年代

石油ショックを乗り越えて

1973年の石油ショックにより、景気が急速に冷え込み、大型建機の需要も急激に落ち込みます。一方、建設作業に伴う振動や騒音に対する厳しい規制も始まり、従来の能率優先だけの考えから脱却した、新しい時代にふさわしい建機への転換が始まります。

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1970~1980年代

大型建機から小型建機へ。
今日のクボタ建機の礎を築く

KHシリーズ

後のクボタミニバックホーのベースとなった全旋回式小型油圧ショベルKH1

第1次石油ショックを機に、クボタは事業の競争力強化や構造改革、省エネ・省資源などの体質強化に徹底して取り組みます。「技術立社」の理念のもと、先行/基礎研究を推進し、自社独自開発を重視するといった、今日の研究・開発姿勢の礎が築かれました。

石油ショックによる需要の低下。小型建機を第3の柱として育成

1973年秋の石油ショックで、業界は一気に需要不振へ。大型建機の市場性や生産体制を見直した結果、クボタはバイハウゼン社との提携が満了する1976年をもって、大型油圧ショベル「アトラス」の生産中止を決定。港湾荷役用のモビルクレーンやトラッククレーンからも退く方向で、顧客・取引先への対策を講じました。当時、建設工事の目的は生活環境整備に移行し、小規模な都市型工事が増加して、クボタのミニバックホーが販売量を伸ばします。小型建機は、農機・鉄管に次ぐクボタ第3の柱として投資・育成するに至りました。

電送線設備工事現場にヘリコプターで運ばれる小型油圧ショベルKH5H

新たな事業体制と専門工場での効率的生産でミニバックホーが市場と現場を突き進む

1979年に、技術・販売・製造を一本化した新生の建設機械事業部が誕生します。同年、枚方機械製造所構内に完成の小型建機専門工場には、溶接ロボットやクローラーシュー加工ラインを設置し、小ロット生産に対応可能な生産システムを導入。月産750台と倍増した生産能力でKH5HやKH90などのミニバックホーシリーズを市場に送り出し、生活環境整備主体の都市型工事や地方自治体発注の小規模工事の現場を支えました。小型建機としては先発であるクボタはその強い競争力により、存在感を発揮しました。

大阪球場付近の狭い場所で掘削作業をするミニバックホーKH90

20世紀の都市環境に配慮したマシン開発。人に街にやさしく、簡単作業を追求

1979年、世界は再び石油ショックに見舞われます。資材の不足と値上がり、省エネルギー・省資源への対策が国民に喚起され、クボタは製品・市場・社員意識などの変革を推進。建設現場や顧客も小回りの利く建機や環境保全・エコ品質に配慮したソリューションを意識するようになりました。1980年、それを実現するために、ミニバックホーのラインナップを拡充。小さな車体で狭い現場作業性を発揮する超ミニバックホーKH007、市街地や夜間の工事も可能な超低騒音設計を実現したKX012・014を発表しました。

1990年代~

高まる地球環境への配慮。
変わりゆく建機

1990年代に入ると、産業が地球環境にもたらす影響が深刻であり、世界規模で早急に解決するべき問題として認知されるようになります。排ガス規制などの厳しい法規制は建機業界にも波及し、建機の姿もまた新しい時代にあった形に変わっていきます。

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1990年代~

アジアへ。欧米へ。
世界を駆けるクボタの建機

KINGLEVシリーズ KX080 CTL SSL

中国・上海の補修改造工事で活躍するクボタのミニバックホー

バブル経済以降の変動期を乗り越えた2003年以降、全社的に官公需事業の基盤強化や海外成長戦略を重点的に推進。このころ相次いだ海外販売/生産拠点設立や現地向け製品開発が、クボタの海外売上を生む、欧州・アジア市場掌握への足場となりました。

人と環境を第一に考える、静かでクリーンな製品。“冬の時代”にも国内外の支持を集める

未来の発展に期待が膨らむ21世紀を目前に、1991年、バブルが崩壊しました。急激な円高も相まって、日本は厳しい景気低迷期に入ります。政府による建築・土木工事発注は維持されたものの、先行きの不安などから、民間の新規建設需要は減退。限定的な規模かつ多様なニーズに低コストで対応し、環境保全にも配慮することが不可欠でした。クボタは同時多元設計を導入し、日本の建設省・米国EPA・欧州EC排ガス規制をすべてクリアしたミニバックホー「KINGLEV」シリーズを1999年に開発。国内外の市場から支持されました。

排ガス規制や静音性に優れたミニバックホーRX-303

活性化する欧州建機市場に自社最上位機種のバックホー投入。事業領域を拡大

1988年、ドイツにKubota Baumaschinen GmbHを製造販売子会社として設立以来、高い性能と耐久性、クリーンで低燃費の利点を揃えた製品を提供し、欧州市場を活性化させてきました。当時欧州では、10トン超の大型油圧ショベルと6トン以下のミニバックホーの中間帯である6~8トンクラスが大幅に販売量を伸ばしていたことから、ミニバックホーの利点を備えた、自社最上位機種となる8トンクラスの輸出向け「KX080-3」を開発。安定性と狭所作業性に優れたボディ構造、オペレーターの安全性確保やメンテナンスに配慮した設計が好評を博し、事業領域を拡大していきます。

ミニバックホーの利点を備えた8トンクラスのバックホー「KX080-3」

非掘削系への領域拡大。北米ニーズに応えた運搬・積込・整地に強い新製品が高評価

ミニバックホー誕生40周年の2013年、累計生産台数は40万台に到達。設計段階から現地ニーズに配慮した製品とサービスで欧州・アジアを始め、北米においても高いステータスを確立。その決め手となったのは北米需要に応えた、運搬・積込・整地に適するCTL(コンパクトトラックローダー)の提供でした。また、2015年には、農場でも使用されるSSL(スキッドステアローダ)を販売開始。農業機械と建設機械を手掛けるクボタだからこそ可能な貢献でした。

運搬・積込・整地用の非掘削系小型建設機械のコンパクトトラックローダー

よりクリーンな環境の実現に思いを込めて。グローバルリーダーが担う、建機の未来

1993年、クボタはエンジンメーカーで世界初の排気ガス規制認証を取得。以来、排ガス対応技術を研鑽し、建機の開発に活かしてきました。2007年に新世代排ガス対応エンジン搭載の「ZEPH」シリーズ、2009年にはダウンサイジング・ターボエンジン搭載のミニバックホー「TOUGH」シリーズを発表。クリーンな排気とパワフルな掘削性能の両方を極限まで実現したミニバックホーは、未来に向けた建機の在り方を世界に示しました。世界レベルで厳密に求められている環境保全に貢献し続けるべく、クボタの挑戦は続きます。

燃費・パワーともに優れたダウンサイジング・ターボエンジン搭載の「TOUGH」シリーズ

使用する国によって
最適な使い方ができる製品。
それがクボタの建機

クボタの建機は単純に性能向上を目指すだけでなく、徹底的な現場主義で地域の実情にあった製品を開発しています。これまでも、そしてこれからも、現場の人に寄り添い、使う人の目線で考えることで、「まちづくり、くにづくりのクボタ」と世界中から思っていただけるような製品の開発に取り組んでいきます。