GLOBAL INDEX 2012 KUBOTA CORPORATE COMMUNICATION MAGAZINE
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9地に 2011年3月11日――この日は、現在を、そして未来を生きるすべての日本人にとって痛切な想いと共に深く胸に刻印される日となった。東北地方と関東地方の太平洋沿岸部に甚大な被害をもたらし、日本の社会全体に深刻なインパクトを与えた、未曾有の自然災害「東日本大震災」発生の日であることはいうまでもない。 震災による死者・行方不明者数は約2万人(死者1万5,652人、行方不明者3,287人)、建築物の全壊・半壊は合わせて37万戸以上(全壊建物12万8,704戸、半壊建物24万4,823戸)(※1)、経済的損失は16兆9,000億円(※2)に及ぶなど、甚大な被害をもたらした。さらに、地震と津波による被害を受けた福島第一原子力発電所では、全電源を喪失したことにより原子炉が冷却不能状態に陥り、大量の放射性物質の漏洩を伴う重大な原子力事故に発展。未だに解決の道筋は不透明なままだ。震災が刻み込んだ傷跡は、被災者のみならず、多くの日本人の心に痛みを伴った深い影を落とした。日本経済は減速し、その影響はあらゆる産業に及んだ。 あれから約1年、被災地の復旧・復興へ向けた取り組みは、政府・自治体のみならず、様々な組織・団体、個人等によって進められているものの、道のりはまだまだ長い(※3)。 岩手・宮城・福島は、米の全国有数の産地であり、この被災3県で国全体の農業(生産物、労働力、農地)の約1割を担っていることからも、日本の食生活に重要な役割を果たしてきたといえる。震災によって、流失・冠水などの被害を受けた農地は宮城県1万5,000ha、福島県6,000ha、岩手県2,000haなど、全体で2万3,600haと推定されている(※4)。特に津波被害を受けた地域では、生活再建の遅れのほか、畦あぜや用排水施設の崩壊、地盤沈下や海水流入による塩害などで、未だ営農できない農家も少なくない。被災地農家の深刻な状況を目の当たりにしてクボタは、震災発生直後から、被災した農家の早期復興へ向けた取り組みを進めてきた。それが、「鉄コーティング籾の直播農法」であり、「海水流入田の除塩支援」だった。※1:※2:※3:※4:2012年2月20日現在、警察庁緊急災害本部発表2011年6月24日、内閣府発表(推計)たとえば、被災した岩手、宮城、福島各県のガレキ2,253万tのうち最終処理が済んだのは全体の5%にとどまっている(2012年2月21日、環境省発表)2011年3月29日、農林水産省統計局発表(推計)海水が残り緑色に変色した農地(福島県南相馬市鹿島区)

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