GLOBAL INDEX 2012 KUBOTA CORPORATE COMMUNICATION MAGAZINE
41/44

く厳しい中にあっても元気を感じさせる避難所があり、これらのキーワードが当てはまりました。こうした調査研究を活かして、東北の街の再生にも取り組み始めています。 今回の大震災に象徴されるように、日本の自然は過酷であり、歴史的にも日本は自然の猛威にさらされてきました。今後も、日本に住む以上、様々な自然災害に見舞われることへの覚悟と備えは必要だと思います。長期的な備えとして、日本人が長年にわたって培ってきた自然を“いなす”知恵を様々なシステムの中に組み入れる必要があるでしょう。 短期的には、人と人をつなぐ“助け合いネットワーク”を形成することです。私は今回の震災で、人が人を助け、人に頼ることができるネットワークがどれほど重要であるかを強く実感しました。そのためにも、ネットワークをつなぐためのタガ=制約が必要になってくるのです。 良質のタガは、必然の結果として“利他”でなければ生きていけない関係性や暮らし方を導きだします。それによって生まれるネットワークはコミュニティ再生の力となり、自然災害の備えともなると確信しています。 今回の震災で、東北エリアのみならず日本の“食”は大きな打撃を被りました。しかしそのインパクトに関して、ほとんど注目されていない現実があります。それは、日本の一次産業がGDPの1.4%に過ぎないからであり、“食”をお金という物差しで見ているからにほかなりません。 クボタが、食に深く関わっている自覚を持った企業であるならば、どのような物差しで食を見ていくのか、どこでどんな役割を担っていくのかを明確にすべきでしょう。そして、単に農業機械という道具を売るメーカーでなく、震災を踏まえてクボタへの期待“食”を原点にした新たな発想を日本の“食を通じた暮らし方のカタチ”を提供している、あるいは担っているという主張を聞きたいと思っています。 また、クボタは一次産業から三次産業までフォローしています。そうであるならば、一次産業をベースに二次産業、三次産業を連携させることで、食を原点とした新しい“まちづくり”も可能になるのではないでしょうか。そういった未来に向けた夢を語って欲しい。私は「ネイチャー・テクノロジー」を“ライフスタイル”という最小ユニットで思考していますが、食という原点を持てば、“まち”まで拡大することが可能なのです。 新しいまちのカタチ、まちのあり方を模索し、そこに必要なテクノロジーをクボタが生み出していく――そうした取り組みを、世界へ、アジアへ発信していけば、企業ブランドの価値向上につながっていくと思います。41

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です