GLOBAL INDEX 2012 KUBOTA CORPORATE COMMUNICATION MAGAZINE
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35産業のREVIVAL「SKCと工業団地、復旧への足取り」浸水した水位を示す、浄水場所長のプラジャック・ビスックン氏「ビッグ・クリーニングデイ(大掃除日)」を告げる看板ユニット型の発電機付浄水設備(フィルセラ)フィルセラで浄化された水(左)。機能拡張により飲用も可能だナワナコン工場の排水活動風景 SKCとクボタは、今回の洪水被害からの復旧支援にも積極的な取り組みをみせた。その一つがディーゼルエンジン付ポンプ100組とガソリンエンジン付ポンプ150組を、排水用としてタイ政府に寄付したことだ。これはマーケティング部長のチャモーンウット・タムナンチットのアイデアから生まれたものだ。 「私はマーケティングの実務に加えてCSR(※14)も担当しています。洪水に対して、企業が社会的責任を果たすには何をすればいいかを考え、ポンプセットを寄付しました。贈呈式にはインラック首相も臨席し、感謝の言葉をいただきました。また、バンコク北部の冠水地域でトラクタによる住民の輸送サービスを実施、工場内のガレキ処理等の清掃にもトラクタを提供しました」 さらにクボタは、工場内の洗浄等に使用する工業用水の供給が可能な、ユニット型の発電機付浄水設備(商品名:フィルセラ)もタイ政府に寄付した。ナワナコン工業団地内の企業に工業用水を供給する浄水場が被害を受け、操業不能になったことへの対応で、これも社員の発案によるものだった。 「工業団地にとって工業用水は不可欠。また、洪水が引いた後は、清掃や機械設備の洗浄用の水が必要となります。しかし浄水場が被災し工業用水を供給できないことを知りました。当社の技術で何が支援できるか、想いを巡らせる中でユニット型の浄水設備であるフィルセラの寄付を思い付いたのです」(戦略企画室担当部長 髙橋元)。 しかし時間はなかった。フィルセラはニーズに応じて製造するオーダーメイド商品のため完成には通常2カ月を要するが、それを約3週間で仕上げる必要があった。さらに、被災現場に柔軟に対応するため、コンパクトで機動的な仕様が求められた。10台のフィルSKC、クボタの復旧支援エンジン付ポンプ、浄水設備の寄付セラが完成したのは11月下旬。富山港から出港し12月上旬に到着、その後ナワナコン工業団地内の浄水場に設置され、工業用水の供給が始まった。もちろん無償による供給である。浄水場所長のプラジャック・ビスックン氏に浸水当時の話を聞いた。 「10月19日が浸水のピーク。約180cmの水深でした。現在は再稼働に向けて、清掃や設備修理に取り組んでいます。クボタのフィルセラによる工業用水の確保で、工業団地内の復旧活動も進むと思います。心から感謝しています。今後は、高い堤防で囲むなどの工業団地でとるべき治水対策について、政府へ訴えていきたいと思います」 今後フィルセラは、その機動性と高い処理能力、災害への備え等を訴求することで、工業団地の浄水ニーズに応えていく予定である。※14:Corporate Social Responsibility=企業の社会的責任

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