GLOBAL INDEX 2012 KUBOTA CORPORATE COMMUNICATION MAGAZINE
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33を切った。東南アジア最大の生産拠点であるSKCがどうなっているのか知るべく、我々は深刻な被害を受けたナワナコン工業団地に車を走らせた。 団地内に入ってまず目につくのは、各工場敷地内の荒れ果てた姿だ。建物が崩壊していないことを除けば、モノが散乱しガレキの山が見受けられる。訪ねた数日前に「ビッグ・クリーニングデイ(大掃除日)」が宣言され、各工場の従業員は泥水にさらされた設備・備品の片づけや清掃に追われていた。ナワナコン工業団地には、SKC以外に、樹脂、アルミ鋳造、電子部品、半導体、通信機器、電子時計、金属加工等の日系企業の工場があるが、そのほとんどが操業停止に追い込まれていた。ナワナコン工業団地に洪水が押し寄せたのは10月中旬。団地外周は堤防が築造され洪水に備えていたが、大水は堤防を越え(一部破堤)団地内に流れ込んだ。各企業は浸水を阻止すべく土嚢や堤防を作るなど努力を重ねたが、浸水は徐々に深まり(水深約2m)、操業を停止せざるを得なくなったのである。 その後、JICAを中心とする国際緊急援助隊専門家チームの排水作業が功を奏し、12月上旬には排水作業はほぼ完了、復旧に向けた取り組みが始まった。一部の工場では操業が再開されているものの、本格稼働にはまだ程遠いのが現状だ。※11:JETRO=日本貿易振興機構調べ各工場清掃のため、フィルセラからの奇麗な水を求めて、多くの給水車が集まった(ナワナコン工業団地内浄水場)復旧への足取り」 浸水被害を受け、SKCは生産体制の再編を余儀なくされた。横形ディーゼルエンジン生産はインドネシアの工場へ、ロータリー(※12)生産は被災していないチョンブリ県・アマタナコン工業団地の工場へと移管した。勤続30年になる製造部長のチャナロン・ウォンウィタワスは語る。 「浸水が始まったとき従業員に避難を呼びかけたのですが、多くの従業員が工場に残って水の浸入を防ぐ努力をしてくれました。浸水していく工場の姿は悲しかったものの、みんなが工場を守ろうとしてくれたことが嬉しかっ“ラインをつなげ”供給体制を確保したタイのたくましさ

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