GLOBAL INDEX 2012 KUBOTA CORPORATE COMMUNICATION MAGAZINE
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25済へ 日本の南約4,600kmに位置する、“微笑みの国”と呼ばれるタイ王国(以下、タイ)――。北部の山岳地には、国内最高峰のドイ・インタノン(2,565m)がそびえ、中央部には大河チャオプラヤ川が形成したチャオプラヤ・デルタと呼ばれる世界有数の穀倉地帯が広がる。気候は熱帯性に分類されており、3月に暑季を迎え、6月~10月が雨季、その後比較的涼しい乾季となる。年間を通じて気温は30度前後、日射量も極めて豊富だ。こうした地理的・気候的背景がもたらした肥沃な土壌は、タイを世界一の米輸出国へと押し上げた。米を中心とした農業は、かつてはタイの産業の中心だったといっていい。しかし、タイは1980年代後半に本格的な工業化へのシフトを進める。 日本や欧米諸国の企業進出、旺盛な直接投資を受け入れることで、1990年代に急速な経済成長を遂げた。1997年、タイを震源とするアジア通貨危機により経済は一時停滞したものの、その後再び急激な回復を見せ、今なお高い経済成長を持続している。工業国といって差し支えないほどに製造業が著しく発展しているのだ。事実、農業は就業者の約40%強を占めるが、GDPでは12%にとどまる。一方製造業は就業者の約15%であるものの、GDPの約34%、輸出額に至っては約90%を占めている(※1)。農業国と工業国の両面の顔を持つのがタイといえる。 そのタイを、東日本大震災の発災からおよそ半年後、大規模な洪水が襲った――。※1:外務省ホームページより

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