GLOBAL INDEX 2012 KUBOTA CORPORATE COMMUNICATION MAGAZINE
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17 今回の震災は膨大なエリアに及んだが、人的及び建物被害、各産業やライフライン等の社会基盤などへの被害が大きかったのは、震源地に最も近い宮城県だった。それは、死者・行方不明者数の総数が全体の約半数、1万人以上であることからもうかがえる。流失・冠水などの被害を受けた農地も同様だ。 被害を受けた約2万3,600haのうち、宮城県は約1万5,000haと突出しており、県全体の耕地面積の11%に上った。その大半が津波によるものであり、津波は圃場の基盤や用排水施設などを損壊、稲作をはじめとした営農に深刻なダメージを与えた。被害の中でも、海水浸水による土壌の「塩害」を受けた農家は、作付けを諦めざるを得ない状況に陥った。 イネは極めて塩分に弱く、海水を被った農地に水稲作付けはできない。したがって、塩害被害を受けた農地再生のためには、一刻も早い「除塩」が必要となる。除塩とはその名の通り、土壌中の塩分濃度を減少させることであり、大量の水をかけて流すことで塩分は除去できる。つまり、あえて簡略化すれば、海水浸水による「塩害」の影響農地再生に求められる早急な除塩対策「雨水による除塩」の実証試験が行われた(有)耕谷アグリサービスの圃場(宮城県名取市)“土壌を水で洗えば”塩分濃度を低下させ除塩できるのだ。 早期の農地復旧を目指し、宮城県も除塩に取り組んできた。津波で浸水した沿岸部の農地のうち、約4割の5,250haの除塩対策を2011年度中に完了し、今春の作付けに間に合わせる見通しを立て、除塩作業を実施。基本は湛たん水すいと排水を繰り返す“真水によるかけ流し”で、除塩には最も有効で効果が高い方法とされている。しかし、それはあくまで農業用水を除塩用として確保できたエリアに限られる。では、「除塩用水」が確保できないエリアではどうするべきか。

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